さあ、ついに本日のその時がやってまいりました。
今週のその時は宇宙暦797年8月の某日。ヤン・ウェンリーが、同盟軍を、ある意味で比較的大きく掌握する時です。
そこには、とても悲しい1つの結末が待っていました。一体歴史が動いたこの日、ヤンはどのように考え行動し、結果として何が起きたのか、それでは、見てまいりましょう。
今回のあらすじ
ヤン・ウェンリー、グリーンヒル大将と相対す
ついに救国軍二次会会のメンバーと相対したヤン・ウェンリー。救国軍事会議のメンバーに降伏を進めます。
「なぜなら、これ以上は帝国の利益になる」
からであるとの、衝撃的な言葉を添えて。
救国軍事会議のメンバーはにわかには信じられません。
「自分たちが帝国と手を組んでいることにし、完全なる悪役にしようと画策しているのではないか!?」
と発言するメンバーがいるほどに。
しかしここでヤン・ウェンリーが決定的な証拠の話をします。
「ローエングラム侯が貴族と戦う間、同盟にも反乱を起こしてもらうために」
「証拠があります」
「あなたたちの中に計画を提案した帰還兵がいるはずです」
どくん!!!
グリーンヒル大将の胸の音が大きくなります。
そう、この計画を立案したのは、まさに、帰還兵であるリンチ少将だったのだから・・・
いやー、この心は毎回見ても辛いものがありますね。。。
だんだんと、グリーンヒル大将に余裕がなくなっていき、それが焦りへと変貌していきます。
グリーンヒル大将とリンチ少将
ここからグリーンヒル大将の過去の回想となります。
帝国との捕虜交換が終わったあと、リンチ少将がグリーンヒル大将を訪ねてきました。
彼らは旧知の仲であり、グリーンヒルはリンチを心配していたこともあり、仲良く話しをしてあげます。
グリーンヒルはリンチを助けてあげたいという意識もあったのでしょう。
そうして旧交を温めていた数週間後、リンチは自身が帝国捕虜だってことを元とした、独自の視点での「同盟軍の問題点と解決策」についての意見を述べます。
「銀河帝国からだと、この国はかなり危うい状態に見えましたよ」
「しかも、帝国には天才ローエングラム候が現れました」
「このままでは、同盟が滅び、帝国が統一国家になる未来しか見えません。」
「それを阻止する方法が、一つだけ思いつきました・・・」
グリーンヒルは聞きます。どうしたらいいのだ?と。
リンチは言います。
「この国に、クーデターを起こすのです!」
こうしてまんまと、帝国の掌で踊らされることが確定しました。
衆愚政治からの軍人による、政権の武力奪取。これは人類が繰り返す愚かしい歴史のサイクルですね。
私はなんとなく、ここに牟田口を思い出しました。
軍人政権がうまくいくかは、その時の外敵との関係と、トップの政治能力ですが、救国軍事会議は、どちらも辛い状況に落ちていただろうと推測しています。
見るのが辛い。。。
リンチ少将とオーベルシュタイン、そしてグリーンヒル大将
全てを悟りつつもまだ現実だと受け入れきれないグリーンヒル大将。
かれはリンチに縋るように、質問します。
「この作戦は、君が考えたものだよな?」
と。
リンチは笑います。
「旦那!そろそろ潮時のようですぜ!」
なんとかれはこのタイミングで、帝国との秘密通信をオープンにします。
オーベルシュタインも、ここが潮時と認識して、全て打ち明けます。
「我々の掌の上でなかなか上手に道化のダンスを踊ってくれた卿らに感謝する」
「ヤンウェンリーの暗殺もうまくいけば帝国にとって最良だったが、まぁこれ以上望むのは贅沢にすぎるということか」
最後の一語は、ヤンに向けて話された言葉でしょう。
話終わると、通信機器は自爆。
重たい、重たい沈黙が流れます。
通信を切ったグリーンヒル大将。
リンチを救おうとした私を、同盟軍人を、なぜ、どんな想いで裏切ったのだ。なぜだ!!
詰め寄るグリーンヒルを嘲笑い、リンチは答えます。
「おれはただ、自己の正しさを信じて疑わない人間に・・・ただ、弁解しようのない恥をかかせてやりたかったのさ!!」
この時点でリンチは生きている全ての目的を達成したのでしょう。晴れやかでスッキリときた笑顔がそこにはありました。
すべてが終わってしまった・・・
そして、どこまでもバカにされ、今までにないほどにコケにされ、プライドも誇りもすべてが砕け散ったグリーンヒル。
かれは衝動的にリンチに銃を向け、引き金を引きます。
そして、リンチは予測していたことだと勝ち誇った顔で、同様に銃を向け、引き金を。
彼らは相打ちに倒れますが、リンチとグリーンヒルの最後の顔は対称的でした。
リンチは笑顔とやり切った達成感に満ち、そして、グリーンヒルは絶望と苦悩に満ちた顔をした最期だったのです。。。
感想
いやー辛いですね!!
わかっていたとはいえ!
このラスト、勢い、ヤンジャンで一週ずつ読んでいるからこその辛さがあります。
臨場感半端ない。
グリーンヒル大将、さぞや無念だったでしょう。。。
これまで、栄光の人生を送ってきた人だと思います。
それでも、どこか視野が狭かった。軍人としての、限界を良くも悪くも超えられなかった人なのだと思います。
彼の死により、同盟内でのクーデターは実質的に終結と言っていいでしょう。
果たして来週は、残された救国軍事会議メンバーによる、どんな醜態がみれるのだろうか?
個人的にはそこで焦る救国軍事会議メンバーと、リンチの会話とか聞きたかったので少しだけ残念笑
銀河の歴史が、久々にまた1ページ・・・
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フジリュー版ヤンジャン銀英伝1巻の感想はじまりはこちら→
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